「金利が上がって、返済額は同じなのに元金が全然減らなくなった」
最近、この相談がとても増えています。
変動金利で住宅ローンを組んでいる40代後半のご家庭。日銀の利上げを受けて金利が上がり始めたけど、毎月の返済額は変わっていない。「大丈夫なのかな」と思いながらも、そのまま過ごしている。
でも中身を見ると、利息の割合だけが静かに増えていて、元金がほとんど減っていない。
教育費はこれから増えていく。繰上返済に回す余裕もない。固定金利に借り換えようにも、手数料がかかるし、判断材料がない。
結論からお伝えします。
金利の上下は、自分ではコントロールできません。 家計でやれるのは、「住宅ローンと教育費、どちらを先に守るか」を決めることです。 この優先順位さえ決まれば、繰上返済も借り換えも、判断の軸ができます。
こんにちは。Family Moneyの青木計太です。 晩産・晩婚夫婦のお金問題を専門にしているFPとして、住宅ローンと教育費の同時負担に悩むご家庭の相談を多くお受けしています。
1. 変動金利の「5年ルール」が隠しているもの
変動金利には「5年ルール」と呼ばれる仕組みがあります。
金利が上がっても、毎月の返済額は5年間変わらない。だから「上がったけど大丈夫」と思いやすい。
でも返済額が変わらないだけで、中身は変わっています。
金利が上がった分、毎月の返済に占める利息の割合が増え、元金の減り方が遅くなる。5年後に返済額が見直されたとき、「125%ルール」で一気に増えることもあります。
怖いのは、目に見えないところで借金の構造が変わっていることです。
返済額が同じだから安心、ではないんです。
今の金利で、毎月いくらが元金に回っていて、いくらが利息に消えているか。これを一度、ローンの明細で確認してみてください。
2. 金利上昇と教育費ピーク。40代後半で同時に来る
変動金利が上がること自体は、多くの方が「なんとなく知っている」状態です。
でも、その上昇が教育費のピークと重なるタイミングで来ることは、あまり意識されていません。
晩産・晩婚のご家庭では、こんな構造になりやすい。
- 子どもが大学に入る頃、旦那さんは50代後半から60代
- 住宅ローンの返済はまだ15年以上残っている
- 役職定年や再雇用で、収入がむしろ下がり始める時期と重なる
収入は下がる。教育費はピーク。住宅ローンの利息は増えている。
この三つが同じ時期にぶつかると、繰上返済に回す余裕はなくなります。
3. 繰上返済を考える前に、やることがある
「金利が上がったから、繰上返済を急いだ方がいいですか?」
相談現場でよく聞かれる質問です。
繰上返済をすれば利息は減ります。それは間違いありません。
でも、繰上返済に回したお金は、もう手元には戻ってきません。
子どもが私立に進んだ。塾代が急に増えた。親の介護が始まった。
そんな「まとまったお金が要る場面」で手元がゼロだと、結局また借りることになります。しかも住宅ローンより金利の高いローンで。
だからこそ、繰上返済を考える前に「優先順位」を決めておくことが大事です。
順番はこうです。
- まず、半年から1年分の生活費を手元に残す
- 教育費のピークまでに使う予定のお金を確保する
- それでも余った分を、繰上返済に回す
繰上返済は「得か損か」ではなく、「今、手放して大丈夫なお金かどうか」で判断する。
お金の使い方の優先順位が決まっていれば、繰上返済のタイミングも自然に見えてきます。
Q. 固定金利に借り換えた方がいい?
「今のうちに固定に換えておくべきですか?」
これもよく聞かれます。
借り換えには手数料がかかります。金利差によっては、借り換えても総返済額が変わらないこともあります。
でも、損得計算の前に確認することがあります。
「あと何年で完済か」と「教育費のピークはいつか」。
残り10年なら、多少の金利上昇は影響が小さい。でも残り20年以上あって、教育費のピークがこれから来るなら、「返済額が読めない」こと自体がリスクになります。
制度の損得計算は後でいい。先に出すのは、自分の家の数字です。
Q. NISAで増やして繰上返済に回せばいい?
NISAは「余ったお金を育てる」仕組みです。
教育費のように数年以内に使うお金や、住宅ローンの返済に充てるお金の置き場所ではありません。
使う時期が近いお金は、減らさない場所に。ずっと先のお金だけ、育てる方向に。
お金の使い方という足元の土台を直さないまま、運用だけ足しても積み上がりません。
「NISAで増やしてから繰上返済」は、順番が逆です。
おわりに
変動金利が上がり始めたことに不安を感じたら、その日のうちに1つだけやってみてください。
紙に「住宅ローンの残り年数」と「子どもが大学に入る年」を並べて書く。
それだけで、「漠然とした不安」が「あといくら、あと何年」に変わります。
お金には義務教育がなかった世代です。知らなくて当然です。
でも入口の小さな差は、今は見えません。10年、20年で見ると、数百万円の差になっていることがあります。特別なことをしたのではなく、ただ気づくのが少し早かっただけで、です。
今日が、いちばん早い日です。 応援しています。