「学費は貯めてあるから、大丈夫」。

そう思っている方にお伝えしたいことがあります。

大学に通い始める前に、100万円近いお金が出ていくことがあるんです。

学費の準備はしていた。でも入学前の出費で、その貯蓄が一気に目減りする。相談に来る方の中で「想定外だった」と言われることが一番多いのが、この「入学前コスト」です。

学費の準備だけでは、大学の入口に立てないことがある。入学前に何がいくらかかるかを「見える化」するだけで、慌てなくなります。

この記事では、受験から入学までに発生する出費を1つずつ整理します。特別な知識は必要ありません。「こんなにかかるんだ」と知っておくだけで、十分です。

1. 受験するだけで、90万円を超えることがある

「入学後の学費」しか頭になかった、という方がとても多いです。

でも実際は、受験のプロセスだけで大きなお金が動きます。

受験料は1校あたり3万円から3.5万円。5校受ければ、受験料だけで17万円前後です。

そしてここが盲点になりやすいのですが、滑り止め校の入学金。1校あたり20万円から27万円かかります。

本命校の合否が出る前に、滑り止めの入学金の締切が来ることがほとんどです。振り込まなければ入学の権利を失う。だから「とりあえず払う」しかない。結局行かなかった学校の入学金は、戻ってきません。

これを2校分やると、それだけで50万円近くになります。

地方から東京や大阪の大学を受ける場合は、受験のたびに交通費と宿泊費がかかります。1回あたり3万円から5万円。3回受けに行けば10万円以上です。

全部を足すと、受験料、滑り止め入学金、交通費・宿泊費で90万円を超えるケースも珍しくありません。

まだ、どこにも通っていないのに。

2. 合格から入学までの3月に、出費が集中する

合格が決まった瞬間から、別の出費が始まります。

パソコン。今はほぼすべての大学で「必須」です。価格は15万円から20万円。理系の学部ではスペックの要求が高く、20万円を超えることもあります。

入学式用のスーツ。靴やカバンも含めると3万円から5万円。

教科書代は年間2万円から5万円ですが、専門書が中心の学部では初年度だけで5万円以上かかることもあります。

通学定期代。自宅から通う場合、私鉄やバスを乗り継ぐと月1万円以上になることも珍しくありません。

これらが合格発表から入学式までの、わずか1ヶ月半の間に集中します。

3. 一人暮らしなら、さらに30万円から60万円

お子さんが県外の大学に進学する場合、一人暮らしの初期費用がかかります。

敷金、礼金、仲介手数料。家具、家電、寝具。引越し費用。地域にもよりますが、30万円から60万円が相場です。

さらに入学直後は、仕送りが生活費に追いつくまでに2ヶ月ほどかかることが多い。その間の生活費も手元に用意しておく必要があります。

合計すると、一人暮らしの初期費用と仕送り立ち上げだけで、100万円前後が必要になることもあるんです。

4. 学費とは「別の財布」を持っておく

学費の貯蓄は、学費のためにあります。

ここに入学前コストが混ざると、入学金と前期授業料を払った時点で「もう残りがない」となりかねません。

私がお伝えしているのは、学費の貯蓄とは別に、「入学前コスト用の枠」を高校2年の夏ごろから意識しておくことです。

金額の目安は、自宅通学なら20万円から30万円。一人暮らしなら80万円から100万円。

大きな金額に感じるかもしれません。

でも大事なのは、金額を完璧に用意することではなく、「こういう出費があるんだ」と知っておくことです。

知っていれば、事前に準備の時間を作れます。知らなければ、合格発表の後に慌てることになります。

5. 「受験にいくらかかるか」を親子で出してみる

具体的にやることは1つだけです。

高校2年の秋に、お子さんと一緒に「受験から入学までにかかるお金」を紙に書き出してみてください。

受験料。滑り止め校の入学金。交通費。パソコン。スーツ。教科書。通学定期。一人暮らしなら初期費用。

金額は正確でなくて構いません。「だいたいこれくらい」でいいんです。

書き出すだけで、「入学前にこんなにかかるんだ」とお子さんも一緒に知ることができます。そしてその瞬間から、家族で備え方を考えることができるようになります。

お金に義務教育はなかった。だから知らなくて当然です。

でも「知る」だけなら、今日からできます。

Q. 滑り止めの入学金を払わないとどうなりますか?

入学の権利を失います。本命校に落ちた場合の「保険」がなくなるということです。払うかどうかは、受験戦略の一部です。ただ、この費用が存在すること自体を知らない方がとても多い。事前に「滑り止めの入学金は捨てるお金」として予算に入れておくと、気持ちの余裕が変わります。

Q. パソコンは入学前に買う必要がありますか?

大学によりますが、今はほぼ必須です。特に1年次の春からレポート提出がオンラインという大学が増えています。大学が推奨するスペックをホームページで確認しておくと、余計な出費を避けられます。

Q. 入学前コストを抑える方法はありますか?

受験校数を絞る。パソコンは大学生協の型落ちモデルを検討する。一人暮らしの家具はフリマアプリやリサイクルショップを活用する。どれも効果がありますが、それ以上に大切なのは「この出費がある」と事前に把握しておくことです。把握していれば、毎月少しずつ準備する時間ができます。

お子さんの大学進学は、親として一番嬉しい瞬間のひとつです。

でも「合格おめでとう」と言いながら、頭の中でお金の計算が回り始める。その気持ちは、決して恥ずかしいことではありません。

むしろ、それだけ真剣にお子さんの未来を考えている証拠です。

40代、50代のご家庭では、教育費のピークと老後資金の準備が同じ時期に重なります。入学前コストが想定外の穴を開けると、その影響は老後の備えにまで及びます。だからこそ、「入学前にいくらかかるか」を早めに見ておくことが大事なんです。

まずは見てみる。それだけで十分です。

見える化するだけで、不安の半分は消えます。

応援しています。