「中学受験、もう私のほうが先に疲れてしまった」
こういう相談が、最近とても増えています。
小学校4年生から塾に通わせて、送り迎え、宿題の管理、模試の成績に一喜一憂。 気づいたら、子どもより先に親が消耗している。
「ここまでお金も時間もかけたのに、今さらやめられない」。 でも「このまま続けて、家計は持つのだろうか」。
続けるか、やめるか。 この二択で悩んでいる限り、答えは出ません。
こんにちは。Family Moneyの青木計太です。 晩産・晩婚夫婦のお金問題を専門にしているFPとして、教育費と老後資金の同時負担に悩むご家庭の相談を多くお受けしています。
この記事では、中学受験を「家計の視点」から整理する考え方をお伝えします。
1. 中学受験の総費用、一度計算してみたことはありますか
塾の月謝だけを見ていると、全体像が見えません。
中学受験にかかるお金は、大きく分けると3つあります。
塾代(小4〜小6の3年間) 私立中学・高校の学費(6年間) それ以外の費用(模試、教材、交通費、入学金、修学旅行、部活など)
塾代は年間で80万〜120万円。3年で300万円前後になることも珍しくありません。 私立中高の学費は、6年間で350万〜500万円程度。 それ以外の費用を合わせると、トータルで1,000万〜2,000万円の幅になります。
月額に換算すると、10万〜15万円を10年以上にわたって払い続ける計算です。
この金額を見て「出せなくはない」と思ったとしても、ここで考えてほしいことがあります。
その間、老後資金の準備は止まっていないでしょうか。
晩産のご家庭では、子どもが大学を卒業する頃に自分たちは60歳前後。 教育費のピークと定年が重なり、「教育費が終わったら老後の準備を」と思っても、その"後"がほとんどない構造になっています。
2. 「ここまでかけたから」はサンクコストです
中学受験を途中でやめることに抵抗を感じるのは、自然なことです。
「3年間の塾代が無駄になる」 「子どもの努力を否定するみたい」 「周りのお友達は続けているのに」
でも、ここで冷静に考えてみてください。
すでに使ったお金は、どちらの判断をしても戻ってきません。 経済学ではこれを「サンクコスト(埋没費用)」と呼びます。
大事なのは、「今まで何にいくら使ったか」ではなく、「これから何にいくら必要か」です。
これからの3年で塾代にかかるお金、私立中高の学費、さらにその先の大学費用。 その合計を、老後の見通しと並べて見ること。
これが、感情だけの判断から抜け出す第一歩です。
3. 「周りのママ友に家計のことは聞けない」のは普通です
中学受験の家計について、相談できる人がいない。 そう感じている方はとても多いです。
塾のお迎えで立ち話はしても、「うち、月にいくらかかっているか知ってる?」とは聞けません。 旦那さんに相談しても「大丈夫だろ」の一言で終わる。
でも「誰にも言えない」のは、あなたの問題ではありません。 お金には義務教育がなかった世代だから、話し方を習っていないだけです。
実は相談に来られた方の多くが、「自分だけが困っているのかと思っていた」とおっしゃいます。 同じ悩みを抱えている家庭は、たくさんあります。
4. 判断軸は「子どもの年齢」と「自分の年齢」を並べるだけ
中学受験を続けるか、公立に切り替えるか。 この判断に「正解」はありません。
ただ、判断の材料は増やせます。
紙1枚に、こう書いてみてください。
「子どもが中学に入る年、自分は何歳」 「子どもが大学を卒業する年、自分は何歳」 「ローンが終わる年、自分は何歳」
この3行を並べるだけで、「教育費のピークと定年が重なるかどうか」が見えます。
重なるなら、その分だけ早めに準備が必要です。 重ならないなら、少し余裕を持って選択できます。
金額のシミュレーションはその後でいい。 まず「タイミング」を見るだけで、判断の質が変わります。
Q. 中学受験をやめたら、子どもの将来に影響しますか?
公立中から高校受験を経て、大学に進学する道は、多くの方が歩んでいます。 中学受験をやめることは、子どもの可能性を閉じることではありません。
問題は「中学受験をするかしないか」ではなく、「教育費全体の中で、何を優先するか」です。
塾代に年間100万円かけた3年間の代わりに、大学進学時にまとまった資金が手元に残る。 そういう選択肢もあるということです。
大事なのは、子どもにかけるお金の「総額」を、自分たちの価値観で配分し直すことです。
Q. 受験を続ける場合、家計のどこを見直せばいいですか?
「中学受験を続ける」と決めたら、見直すのは「受験以外の部分」です。
保険、通信費、サブスクリプション、食費以外の固定支出。 こうした部分に「なんとなく」が隠れていることが多いです。
ただし、「全部削る」ではありません。 何を残して、何をやめるかを、夫婦で決め直す。
支出のコントロールは、「どれを」「どれぐらい」「どうする」。 この3つを決めるだけです。
削るのではなく、決める。 それだけで、受験費用を捻出しながら老後の備えを止めずに済む方法が見えてきます。
Q. 相談したいけど、旦那さんが話を聞いてくれません
お金の話をすると機嫌が悪くなる。 「お前の給料が安いからだ」と言われて会話にならない。
こういうケースは珍しくありません。
おすすめは、「過去の反省」ではなく「未来の話」から始めることです。
「中学受験、あといくらかかるか一緒に見てみない?」 「子どもが大学を出る頃、うちの家計どうなってるかな」
数字の前に、方向をそろえる。 家計簿より先に、この会話です。
紙1枚に書いた年齢表を、リビングのテーブルに置いておくだけでも、きっかけになります。
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中学受験は、子どもの教育方針の問題であると同時に、家計の問題でもあります。
「続けるか、やめるか」の二択に追い込まれると、どちらを選んでも後悔が残ります。
でも、数字を並べて「何がいつ必要か」を見ただけで、判断の材料は大きく変わります。
入口の小さな差は、今は見えません。 でも10年後に振り返ると、数百万円の差になっていることがある。
あなたの家の中学受験、一度「家計の視点」で見てみませんか。
応援しています。