「あと何年、この給料がもらえるのか」

50代に入ると、ふとした瞬間にこの計算が頭をよぎりませんか。

会社で数字は出せる。部下もいる。でも、家に帰ると住宅ローンの残りと、子供の学費と、いつか来る定年のことが、ぐるぐる回っている。

旦那さんが55歳前後になったとき、多くの会社で昇給は止まります。中小零細企業なら役職手当がなくなったり、60歳を過ぎれば再雇用で年収が2〜3割ダウンすることも珍しくない。

でも、子供の教育費はまさにこれからピークを迎えます。この「収入が下がる時期」と「支出が最大になる時期」が重なるのが、晩産・晩婚家庭の構造問題です。

こんにちは。Family Moneyの青木計太です。晩産・晩婚夫婦のお金問題を専門にしているFPとして、50代のご家庭からこの相談をたくさんお受けしています。

1. 「55歳の崖」は、中小企業でも起きている

大手企業の「役職定年」がニュースになっていますが、中小零細企業でも55歳前後から実質的に昇給が止まるケースは非常に多いです。

ボーナスの査定が厳しくなる。残業が減る。後輩に仕事を引き継ぎ始める。目に見えた辞令はなくても、手取りはじわじわ減っていく。

そして60歳を過ぎて再雇用になると、年収は一気に下がります。

中小企業の退職金は平均で700万〜800万円台。大企業との差は1,000万円以上あります。「退職金で何とかする」と思っていても、その金額を一度も確認していなければ、計画の土台がありません。

2. 子供の教育費が最大になるのは、まさにその時期

40歳で子供が生まれた場合、子供が大学に入るのは親が58歳のとき。卒業するのは62歳です。

その間に起きること。

  • 大学の学費(私立文系で年間約120万〜150万円)
  • 一人暮らしの仕送り(月5万〜10万円)
  • 住宅ローンの返済(月9〜10万円)
  • 再雇用による手取り減(2〜3割ダウン)

子供が2人いれば、教育費のピークがさらに長く続きます。

「教育費が大変だから、老後はその後で考える」。多くの方がそう言います。でも、その"後"がほとんどない構造になっている。これが晩産家庭の現実です。

3. 怖いのは「数字」ではなく「気づいたときに時間がないこと」

相談に来られる方の多くは、「数字を知るのが怖い」とおっしゃいます。

でも、怖いのは数字そのものではありません。

気づいたときに、打つ手の時間が残っていないこと。

入口の小さな差は、今は見えません。でも10年、20年で見ると数百万円の差になっていることがある。特別なことをしたのではなく、始めるタイミングが早かっただけで、年に一度いいホテルに泊まれるくらいの余白が生まれる。

逆に、いったん家計が崩れると、元に戻すのは想像以上に大変です。減るのは一瞬、取り戻すには長い時間がかかる。

だからこそ、「まだ大丈夫」の今こそ、一度だけ数字を書き出してみる価値があります。

4. 今日できること。「年表」を1枚書くだけ

大掛かりなシミュレーションは要りません。

紙1枚に、こう並べてみてください。

  • 旦那さんの年齢:今何歳で、何歳まで今の収入が続きそうか
  • 子供の年齢:いつ高校、いつ大学か
  • ローンの完済:何歳まで払い続けるか

3つを並べるだけで、「何歳のときに何が重なるか」が見えます。

全部の答えを出す必要はありません。「重なる年」を一度見る。それだけで、「とりあえず後で」が「今月何か一つ決めよう」に変わります。

お金に義務教育なんてなかった世代。知らなくて当然です。でも、気づいた今が一番早いタイミングです。

Q. 55歳までにやっておくべきことは何ですか?

一番大切なのは、退職金の金額を確認することです。旦那さんの会社の退職金規程を見てみてください。「会社に退職金の制度ってある?」から始めるだけで大丈夫です。

金額が分かるだけで、老後の見通しが一気に変わります。

Q. 教育費のためにローンの繰り上げ返済をやめるべきですか?

住宅ローンの金利は低い(変動で0.5〜1.0%台)。一方、教育ローンは年2%台が多い。手元資金が限られるなら、高い金利の借入を避ける方が合理的です。

つまり、教育費に先にお金を確保し、繰り上げ返済は子供が卒業してからでも遅くありません。順番を整えるだけで、利息の総額は変わります。

Q. 共働きでも間に合いますか?

間に合うかどうかは、「いつ・何に・いくら必要か」を先に出すことで見えてきます。制度(扶養の壁の引き上げ、iDeCoの活用、児童手当の延長)も年々変わっています。

大事なのは「収入を上げる」ことだけではなく、優先順位を決めること。何を大事にしたいかを先に決めれば、家計の判断はシンプルになります。

あなたの家の「年表」を、今夜書いてみてください

特別な知識も、難しい計算も要りません。

旦那さんの年齢、子供の年齢、ローンの完済年齢。この3つを並べて、重なる年を見る。

それだけで、「このまま何となく進む不安」が、「あといくら、あと何年」に変わります。

あなたは、自分の家の「年表」を一度でも書いたことがありますか?