「家計簿をつけてるのに、なんで貯まらないの?」

この問いかけが、40代のご家庭からとても多いです。

アプリも使っている。レシートも見直している。 無駄づかいをしているつもりもない。 なのに、月末になると残高は同じか、少し減っている。

「もっとちゃんと記録しなきゃ」と思って、また翌月つけ直す。 でも同じことの繰り返しで、3ヶ月もすると気がめいってしまう。

実は、「家計簿をつけたけど続かない」という声は、私が受ける相談でもナンバーワンです。

家計簿が続かないのは、あなたの意志が弱いからではありません。記録すること≠改善することです。記録の先に、「何を大事にしたいか」を決める一歩があります。それだけで、数字の見え方が変わります。

こんにちは。Family Moneyの青木計太です。 晩産・晩婚夫婦のお金問題を専門にしているFPとして、「記録はしてるのに変わらない」と悩むご家庭の相談を多くお受けしています。

1. 家計簿が続かないのは、意志の問題ではない

家計簿をつけている方のほとんどは、真面目で、努力家です。 レシートを集め、アプリに入力し、毎月のグラフを眺めている。

それなのに貯まらないのは、怠けているからではありません。

私はセミナーでこうお話しすることがあります。

「家計はアプリで改善できる人って、ほぼいないんですよ。記録と改善は、実は別の作業なんです」。

家計簿は「今月いくら使ったか」を記録する道具です。 でも、「じゃあ何を変えればいいのか」を教えてくれるわけではありません。

記録があっても、そこから何を読み取り、何を変えるかを一人で判断するのは、実はとても難しい。

だから続かない。 続かない自分を責める必要は、まったくありません。

2. 記録しても変わらないのは「順番」が違うから

「家計簿を見直して、まず食費から削ろう」。 多くの方がこう考えます。

でも、私のお伝えしているのは、ただただ節約してくださいという話ではありません。

削る前に決めることがあります。 それは、「わが家は何を大事にしたいか」です。

食費、教育、趣味、健康、旅行。 何が1番大事でもいい。正解はありません。 ただ、全部に「最大」をかけることはできない。

だからこそ、自分たちの価値観で並べる。 それが"自分軸"です。

自分軸が決まると、家計簿の数字に意味が生まれます。

「これは大事にしたいことに使ったお金だ」 「これは、なんとなく使っていたお金だ」

同じ数字なのに、見え方がまったく変わります。

3. 先に決めるのは「何を大事にしたいか」

教育費と老後が同時に迫ってくる40代は、「どこを削るか」と考えると行き詰まります。

削れる場所はいつか尽きます。 でも、教育費と老後という大きな支出は、これからやってくる。

晩婚・晩産のご家庭は、この2つのピークが近い時期に重なりやすい構造です。

だからこそ、記録の先にある本当の一歩は、「何をやめるか」を一つ決めることです。

セミナーではこうお伝えすることがあります。

「貯めたお金を100歳まで抱えて死んでも、それはそれで少しさびしいですよね。お金は、健康と家族との楽しい時間に使いながら、幸せに長生きするための道具です。だから、"好きじゃないものには使わない"と決めることが先なんです」。

全部を削るのではなく、一つだけ手放す。 その分の余白を、本当に大事にしたいこと(年に一度のちょっと贅沢な家族旅行とか)に回す。

我慢の節約ではなく、使い先を自分で選び直す。 これが家計簿の「先」にある一歩です。

ひとつだけ補足すると、食費は真っ先に削らないでください。 数字の上ではいちばん大きく見えるので削りたくなりますが、食が乱れると体調や気持ちに出て、結局すべてのやる気が落ちていきます。

4. 知っていてもできないのが「普通」

「分かってるんです。でも、できないんです」。

この言葉を、何度聞いたか分かりません。 でも、それはあなただけではありません。

私たちも、私たちの親世代も、お金の使い方を学校で習っていません。 しかも正解は世代で変わります。

昔は銀行に預けておけば利子がついて、「触らないこと」が正解でした。 でも今は、同じように置いておいても、ほとんど増えません。 昔の正解が、今は不正解になっているのです。

知らなかったのは、当たり前です。

そしてもうひとつ。

「知ってるのにできない」は、意志の問題ではありません。 一人でやる構造に限界があるだけです。

情報収集は得意で、読んだことも正しい。 でも、一人で読んで、一人で考えて、一人で実行して、一人で続ける。 これはほとんどの人が止まります。

セミナーでお話しすると、「たったこれだけのことで止まっていたのか」と驚かれる方が多いのですが、止まっていたのは知識のせいではなく、「思い出す機会」がなかっただけです。

Q. まず何から始めればいいですか?

家計簿をつけ直す必要はありません。

紙でもスマホのメモでもかまいません。 先月の支出を思い出して、ざっくり3つに分けてみてください。

  • 使いたかったお金(家族のごはん、子供の教育、大事にしている時間に使ったお金)
  • 仕方なく払ったお金(家賃、光熱費、保険など、生活に必要な支出)
  • なんとなく使っていたお金(惰性、付き合い、気づいたら消えていたお金)

この3番目に気づけるかどうかが、分かれ道です。

正解を出すことがゴールではありません。 「これは何のためのお金だっけ?」と自分に問い直す。それだけで、家計簿をつけなくても、判断の軸ができます。

おわりに

家計簿をつけても貯まらないのは、努力が足りないからではありません。 記録と改善の間に、もう一つの「決める」というステップがあっただけです。

「何を大事にしたいか」を決める。 「好きじゃないものには使わない」と決める。

それだけで、毎月の数字の見え方が変わります。

入口の小さな差は、今は見えません。 でも10年、20年で見ると、数百万円の差になっていることがあります。 特別なことをしたわけじゃなくて、ただ気づくのが少し早かっただけで、それだけの差が開く。

今日が、いちばん早い日です。 応援しています。